December 01, 2025

通帳から契約書まで、税理士法人が実践する全方位的なデータ入力自動化

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税理士法人森田事務所
  • IndustryOther
  • URLhttps://molita.net/
  • DocumentBank passbook, Credit card statement, Hometown tax payment certificate, Medical expense receipt, Receipt (medical fee statement), Contract
  • EffectFocus on Core Tasks, Reduce working time
Before
  • 通帳コピーを見ながらの手入力作業で1社あたり月100~200件の仕訳処理
  • 確定申告時期の医療費控除は病院ごとに分類して電卓で集計
  • ふるさと納税の処理では10件の入力におおよそ3〜4分かかっていた
  • 契約書の雛形作成時は印刷物を見ながら一から転記
  • 経験豊富な人材の確保が困難で業務が属人化
After
  • 通帳データの読み取りからCSV出力まで自動化し、作業時間を大幅削減
  • 項目抽出機能で非定型帳票も簡単にデータ化し、確定申告業務の工数削減を実現
  • ふるさと納税の処理が10件あたり会計システムへの取り込みまで30秒程度で完了
  • 契約書を瞬時にデータ化し、編集可能な雛形として提供可能に
  • 会計知識がない人材でも対応可能な業務フローを確立
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兵庫県内に2拠点、さらに福岡、長崎、熊本と九州エリアに3拠点、計5カ所に事務所を構え、約2,000のお客様に会計・税務サービスを提供する税理士法人森田事務所様。同事務所で福岡、長崎、熊本エリアの統括およびシステム導入を担当する富永様は、2020年からDX Suite を導入し、業務効率化を実現しています。定型だけではなく、非定型書類の読み取りなど、DX Suite の活用法について伺いました。

約2,000社のお客様へのサービス提供と人材確保の課題

―― 2020年の導入当初は、どのような課題に直面していましたか。 

富永様:弊事務所は5拠点で約2,000社のお客様にサービスを提供していますが、事業規模の拡大に伴い、業務担当者の人材確保や業務効率化が課題になっていました。2020年のDX Suite の導入時に直面していたのは、大量の銀行通帳の明細をデータ入力する際の業務負担でした。出入金のデータをCSVで提供いただける場合もありますが、お客様によっては銀行通帳のコピーを紙でいただくこともあり、手入力を行う必要がありました。確定申告時に必要な医療費控除やふるさと納税などの他の書類についても、人が手入力していました。 

―― DX Suite を導入されたきっかけについて教えてください。 

富永様:実は当事務所のお客様がDX Suite を導入しているというお話を聞いたのがきっかけでした。手書きの申込書をDX Suite でデータ化されていたんです。 当時、私たちも銀行通帳の手入力作業に課題を抱えていました。使用している会計システムにもOCR機能はありましたが、読み取り精度が低く実用的ではありませんでした。 そんな中、お客様の事例を詳しく伺うと、観光地の店頭でお客様が急いで記入したような走り書きの文字でも高い精度で読み取れていることがわかりました。「これなら私たちの通帳処理にも活用できる」と確信し、まずはトライアルから始めることにしました。

TK704886<税理士法人 森田事務所 営業支援推進部 部長 富永 雅弘 様>

定型帳票から始まり、非定型帳票へ

―― 導入当初はどのように活用を始められましたか。 

富永様:当初、通帳読み取りから着手しましたが、通帳にはメモ書きが散見されます。例えば、入金欄の「電気料金」という記載や、お客様による「家賃支払い」等の手書きメモです。 以前は、読み取りデータをエクセルで加工し、金額の先頭の円マークやアスタリスクの有無で金額と文字を判別する関数で精査していました。しかし、DX Suite の導入支援時にデータ変換機能(データ加工)の条件設定を教わり、読み取り後、会計システムへの取り込みに適したCSV形式での出力が可能になりました。 

森田事務所様_記事内画像の構成図

―― カスタマーサクセスチームのサポートはいかがでしたか。 

富永様:非常に助かりました。「ご利用状況はいかがですか」とタイミングよく連絡をいただき、課題を相談することができました。設定ファイルや、元データ、出力結果を送付したところ、迅速に修正対応いただき、「これで試してください」と設定ファイルをいただいたおかげで、期待通りの結果を得ることができ大変助かりました。その際、「項目抽出」という新機能を紹介いただいたことで、これまで読み取りが困難だった非定型帳票への対応が可能になり、他の書類の読み取りにも活用の幅を広げることができるようになりました。 

―― 非定型の読み取りはどのような業務で活用されていますか。 

富永様:一つは、確定申告の際のデータ管理に活用しています。医療費控除に必要な医療費領収書は、各市町村や医療機関ごとに異なるフォーマットです。項目抽出なら必要な項目を登録するだけで読み取ることができるためとても楽にデータ化できています。 CSVファイルをダウンロード後、会計システムへの一括インポート用Excelテンプレートにデータを転記します。これにより、大量の領収書を会計システムへ自動登録でき、業務負担が大幅に軽減されました。

森田事務所様_記事内画像の構成図 (1)

富永様:他にもふるさと納税の証明書、クレジットカードの明細なども読み取っています。クリニックの会計処理で必要なレセプト請求書類にも使うようになりました。

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ーー契約書の処理にも活用されているとお聞きしました。 

富永様:契約書の雛形がないPDF形式で相談を受けることがあります。以前は、スキャンして顧客名などを黒塗りにしてお渡ししていました。しかし最近では、AI-OCRで読み取った契約書のテキストをワードに貼り付け、体裁を整えて「ここに顧客名、金額を入力してください」とデータで提供できるようになり、大変便利です。 

―― 処理時間はどの程度短縮されましたか。

 富永様:劇的に変わりました。例えば、ふるさと納税10件の処理で考えると、住所を検索して入力し、金額を入れる作業に1件あたり15〜20秒かかるとすると、3〜4分必要でした。しかし、DX Suite を使えば読み取りからCSV出力、会計システムへの取り込みまで30秒程度で完了できるようになりました。

人材配置転換に向けた業務自動化推進

―― DX Suite 導入は人材戦略にも影響を与えているそうですね。 

富永様:労働人口減少に伴い、会計スキルや経験を持つ人材の確保は困難です。しかし、DX Suite を活用することでデータ処理業務が自動化・効率化され、会計の専門知識がなくても基本的なPCスキルがあれば業務遂行が可能となり、人材採用の門戸を広げることができます。 

会計は本質的にパズルのようなものだと思っています。会計知識がなくても、記載のルールなどから「ここにはまるべきピースがはまっていない」という違和感を感じ取れます。そういう適性を見つければ、未経験者でも十分に活躍できるんです。 

さらに、経験豊富なスタッフには、お客様と接するフロント業務に移行してもらえるようにしたいと考えています。近年、基本的な会計処理ツールの機能が向上し、会計処理の品質はどの事務所でも同等になっていると考えられます。そのため、差別化を図るには、付加価値の高いコンサルティングや顧客対応力が鍵になると考えています。

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RPAとの連携で自動化へ

―― 今後の展望についてお聞かせください。 富永様:将来的にはRPAと組み合わせた自動化を目指しています。例えば、通帳用、請求書用といった特定のフォルダを作っておき、書類を入れるだけで、会計システムへの取り込みまで完了する仕組みなどに取り組んでいきたいと考えています。 

―― 最後に、DX Suite 導入を検討されている企業へのメッセージをお願いします。 

富永様:紙のデータを手で転記している企業は本当に多いです。人材確保が年々難しくなる中、そういった企業にこそDX Suite をおすすめしたいですね。 例えば、飲食業のお客様では手書き伝票がまだ見られますが、DX Suite で伝票を読み取り集計データを自動作成し、データで提供いただければ、税理士事務所側の作業が軽減され、顧問料の抑制にも繋がる可能性があります。 

また、導入に躊躇される方も多いと思いますが、実際にやってみると成功体験が得られます。「人の方が正確なんじゃないか」「本当にできるんだろうか」という不安があるのは当然ですが、実際に触っていただければ「できたじゃないですか」という経験になるはずです。まずは一部業務から導入し、徐々に利用範囲を拡大していくことで、導入効果を実感できるはずです。 

―― ありがとうございました。

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